ジェフリー・アーチャー/クリフトン年代記第5部「剣より強し」あらすじ

ジェフリー・アーチャーの大作クリフトン年代記を楽しく読むためのあらすじです。

第5部 「剣より強し」
○プロローグ 上巻P.13~
アイルランド共和国軍は、豪華客船「バッキンガム」の処女航海で時限爆弾を仕掛け、時間になると轟音がともに激しい衝撃が襲ってきた。

○ハリーとエマ 1964年-1965年 上巻P.21~
皇太后から送られた百合の花に添えられたカードの誤りにハリーが気がつく。スコット=ホプキンス大佐のチームにより遠隔時限装置が発見され、爆弾の入った百合の花瓶を舷側から海に投棄する。爆弾は海中で爆発した。
ドン・ペドロはアイルランド共和国軍に2回目の報酬を払わずに逃げようとするが、捕らえられる。バッキンガムの爆破が失敗したこととで殺されることは免れたが、アルゼンチンに帰るしか選択肢は無かった。
バッキンガムで重役会が行われ、爆破事件への対応が協議される。絶対に秘密にされなければならなかった。ジャイルズが大臣になったことから重役会を辞任し、代わってセバスティアンが重役に選ばれる。バッキンガムは無事ニューヨークへ入港し、エイヴォンマスへの帰路についた。船上での2回目の重役会にセバスティアンは出席し、歓迎されるが、ブリストル・バス会社創設者のデズモンド・メラーが重役候補として推薦される。
ハリーはイギリス・ペン・クラブ会長としてモスクワを訪れ、世界書籍会議でアナートリイ・ババコフがスターリンについて書いた「アンクル・ジョー」の出版が認められるべきだとする基調演説を行う。サー・アラン内閣官房長官からの依頼で、イギリス大使と会い、ソビエトのスパイリストを記憶して持ち帰る。
不動産部門次席のセバスティアンは、上司のスローンの不正な秘密取引をつきとめる。余罪も明らかになったスローンはセドリックによって解雇されるところだったが、セドリックは持病の発作に倒れ死ぬ。スローンは倒れたセドリックを見殺しにした。
セドリックの葬儀の日に開かれたセバスティアン不在の重役会で、スローンはファージングズ銀行の会長に選ばれる。セバスティアンは、級友ヴィクター・コーフマンの父親が経営する銀行の手でスローンが手がけていた取引を横取りする。3カ月後、この取引で手に入れた土地に政府が高速道路を計画していることを発表し、取引の成功が明らかになる。セバスティアンには4万ポンドのボーナスが出ることに。
だが、セバスティアンは、この取引の情報提供者モーリス・スワンに約束していた学校に新しい劇場を作るための寄附をしなかった。これを責められサマンサから別れを告げられる。

○レディ・ヴァージニア・フェンウィック 1966年 上巻P.258~
レディ・ヴァージニア・フェンウィックは、ボブ・ピンガムを追い落とすため、フィッシャー少佐を雇いピンガムの財産を調べさせる。
一方で、プリシラをそそのかして、ボブ・ピンガムとの離婚訴訟を起こさせる。プリシラは、財産分与で財産の半分を現金、不動産を受け取ろうとするが、案に相違してボブは会社を彼女に譲る。
プリシラに会社経営ができるはずもなく、フィッシャー少佐が経営を行おうとするが、社員のサボタージュにあい撤退する。結局、プリシラとボブはよりがもどる。
レディ・ヴァージニアの矛先はエマに向かった。レディ・ヴァージニアは、バッキンガムの処女航海の夜の出来事を明らかにしようと考える。

○ジャイルズ・バリントン 1970年 上巻P.301~
ジャイルズは50歳になり、息子のウォルターを失い、グウィネッズとの仲も昔のようではなかった。望は外務大臣の職だが、まずは次の選挙に勝つことだった。
ジャイルズは東ベルリンでの会議に参加し、通訳のカリン・ベンジェリーと関係を持つ。事は露見して、マスコミの好餌となり大臣を辞任するが、議員辞職は首相から慰撫される。
そして、選挙の相手はまたアレックス・フィッシャー少佐となった。先行されるジャイルズは公開討論会で対決し逆転したかに思えたが、11票差でフィッシャー少佐に敗れる。
ジャイルズは東ベルリンに向かうが、アナトーリイ・ババコフを刑務所から釈放するハリーの運動への支持を表明したため、ビザを没収されカリンと再会することはできない。

○セバスティアン・クリフトン 1970年 下巻P.9~
セバスティアンはサマンサを失ったことを悔いていた。やり直すために、まずはモーリス・スワンに寄附金を渡す。バッキンガムでアメリカに渡ると、サマンサには娘がいることを知る。しかし、娘はセバスティアンの子だった。セバスティアンはその娘ジェシカの小学校の校長ローズマリー・ウルフ博士から、ジェシカの書いた絵を受け取る。さらに新聞社を訪ねて、3カ月前にサマンサが結婚していたことを知る。
同じ船でアメリカに渡ったハリーは、アナートリイ・ババコフの「アンクル・ジョー」を世に出すべく、亡命したその妻のもとを訪れる。本はレニングラードの古書店に隠されていることを教えられる。

○レディ・ヴァージニア・フェンウィック 1970年 下巻P.67~
レディ・ヴァージニア・フェンウィック、デズモンド・メラー、エイドリアン・スローン、そして今や国会議員となったフィッシャー少佐は一味だった。彼らはアーノルド・ハードキャッスルをだまし、母親のファージングズ銀行の株をメラーに売らせた。彼らはその株を外国人に転売するつもりだ。そして第二段はレディ・ヴァージニアとエマの裁判。裁判期間中はエマは会長職を降りるべきだと主張するのだ。そして処女航海で起こったことを明らかにし、株を暴落させたところで手に入れ、我が物とする計画だ。
セバスティアンは、スローンからファージングズ銀行株の買取を持ちかけられるが断る。スローンは重役会に席を得るためには株の10%を保有していなければならないと定款を変えていた。
セバスチャンは、スローンの株買取申し出の理由を探るため、トルコ人の銀行家ハキム・ビシャラの知己を得る。彼らは最古の職業を母と祖母がしていた共通点があった。
バリントン海運の重役会が行われ、デズモンド・メラーが副会長に選任される。セバスティアンは遅刻により投票できなかった。メラーは早速、裁判の間、エマが会長職を降りることを提案する。エマは従うしかなかった。

○セバスティアン・クリフトン 1970年 下巻P.147~
エイドリアン・スローンは、ハキム・ビシャラへの銀行売却金額を契約の土壇場でつり上げ、ハキムは断る。
セバスティアンは、ウルフ博士からの電話でサマンサの結婚相手のマイケルが心臓発作をおこし昏睡状態であることを知り、学費の援助を申し出る。
ハリーは「アンクル・ジョー」の本を回収するためソビエトに降り立った。レニングラードの古書店で二都物語に偽装したアナートリイ・ババコフの本を手に入れ飛行機に乗るところで拘束される。自分をMI5の工作員とする供述書にサインすれば釈放されるのだが、拒む。
ハキムはセバスティアンを通じて、株式をハードキャッスル夫人から買い取ったのがメラーで一株当たり3ポンド9シリングと知る。メラーから元値で買い取り、メラーにバリントン海運の重役を辞任させる。ハキムはファージングズ銀行の重役会からスローンを排除し、ロス・ブキャナンを会長に、セバスティアンを副会長にする。

○ハリーとエマ 1970年 下巻P.203~
エマ対レディ・ヴァージニアの裁判がはじまった。フィッシャー少佐に対する証人尋問が行われ、フィッシャーは馬脚を現し、地元執行委員会で辞職動議が全会一致で可決されたことで辞職をよぎなくされる。フィッシャーは自殺する。裁判で陪審は膠着し、自殺したフィッシャー少佐からの手紙公開を求める。
ソ連で捕まったハリーは裁判にかけられる。それは世論操作のための裁判で、三文芝居に過ぎないものだった。証人として出廷したアナートリイ・ババコフと同房になる。裁判では有罪となるが、ハリーはソ連が用意した供述書に署名することで解放される。イギリスへ戻る機内で、最初から最後まで諳んじているアナートリイから聞いた「アンクル・ジョー」を筆記し始める。供述書の署名はウィリアム・ウォーウィックのものだった。
剣より強し(上): クリフトン年代記 第5部 (新潮文庫)51CCVltSngL._SX349_BO1,204,203,200_
剣より強し(下): クリフトン年代記 第5部 (新潮文庫)513IqI-NpgL._SX349_BO1,204,203,200_

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