ジェフリー・アーチャー/クリフトン年代記第3部「裁きの鐘は」あらすじ

ジェフリー・アーチャーの大作クリフトン年代記を楽しく読むためのあらすじです。

第3部 「裁きの鐘は」

○プロローグ 上巻P.11~
大法官は、亡くなったハーヴェイ卿が投票していれば問題は落着していたはずと思いながら、ハリーとジャイルズのいずれかに相続させるべきか悩んでいた。午前10時になり、貴族院の議場でついにジャイルズを相続者とすると発表したが、実は最後の瞬間に考えを変えたのだった。

○ハリー・クリフトンとエマ・バリントン 1945年-1951年 上巻P.25~
ハリーとエマはついに結婚した。夫妻は落ち着きの無いセバスティアンのために、ヒューゴーの遺児を養子を迎えることにし、ミッチェルに行方を調べるよう依頼する。遺児ジェシカが送られた施設がわかり、エマは周到に事をすすめ、セバスティアン選択も得てジェシカを養子とすることができた。
ハリーは新作の宣伝ツアーでアメリカに行く。ギンズバーグ、フィリス、アリステアと会い、セフトン・ジェルクスがシニア・パートナーを辞め、もう死んだことを知る。とにかく本の名前を売らなければならない宣伝ツアーは、なかなかハリー意のままにならなかったが、なんとか成果を上げて終了した。
サイラス・フェルドマン教授の講演を聴講したエマは、教授の知己を得、ロンドンに戻る教授にバリントン海運の将来についてアドバイスを受け、海運の重役になるため彼の通信教育を受けることにする。
セバスティアンはセント・ビーズに入学した。しかし、成績と、父親の本を書店で勝手に配るという万引き事件をフィッシャー理事長が問題にしたためブリストル・グラマー・スクールへの入学はかなわなかった。
エリザベス・バリントンは乳癌で死に瀕していた。ハリーは相続に関して、ジャイルズの女友達ヴァージニア・フェンウィックを遠ざけるための手紙を預かる。

○ジャイルズ・バリントン 1951年-1954年 上巻P.155~
エリザベス・バリントンは51歳で亡くなり、葬儀が盛大に行われた。その後の通夜でヴァージニア・フェンウィックは高慢かつ我が物顔に振る舞い、グランド・ホテルの総支配人に昇格したハリーの母メイジーをはじめ、多くの人間に不快感を抱かせる。その後のディナーでジャイルズは彼女との結婚を発表する。
議会が解散され、ジャイルズの選挙戦が始まった。それは地道な草の根の闘いだった。ジャイルズは薄氷を踏む勝利を得たが、労働党は敗れた。
母エリザベスの遺言書が公開され、ジャイルズは何も相続できず、ヴァージニア・フェンウィックとの結婚への反対の言葉だけが残された。
ジャイルズとヴァージニアは結婚したが、ハリーやエマをはじめとするバリントン家の者は結婚式に招かれなかった。
エリザベスの遺言書に対する異議申し立ての審判が行われる。死に瀕したエリザベスが遺言書を理解して署名したのか争われるが、ハリーに託されたエリザベスの手紙により、遺言書を作成した当時のエリザベスの能力が証明され、ジャイルズは敗れる。
ヴァージニアがジャイルズの元を離れて一年以上が過ぎたが、彼らはまだ離婚していなかった。ジャイルズの元に妹のグレイスがやってきて、彼女の30歳の誕生パーティに誘う。そこでジャイルズは魅力的な博士課程の女学生グウィネッズ・ヒューズと出会う。
ヴァージニアから離婚の申し出がありジャイルズはある手続を行う。それは離婚の根拠となる不倫の偽装だった。

○アレックス・フィッシャー 1954年-1955年 上巻P.259
ヴァージニアは、フィッシャーと共謀してジャイルズを叩き潰そうと試みる。まず、バリントン海運の株の7.5%を所有し、フィッシャーを重役に送り込んだ。そして、グウィネッズ・ヒューズとの関係を噂として流した。
バリントン海運の重役であるフィッシャーは、インサイダー取引をバージニアに持ちかける。一方で、保守党候補に自分たちに都合の良い人間が選出されるよう不正を働く。またフィッシャーは選挙区支部長に就任した。
フィッシャーのインサイダー取引に会社は気付き、反撃に出ようとする。偽の情報をフィッシャーに流すのだ。
フィッシャーは、先に保守党候補として選出された人間のスキャンダルをつかみ、辞退に追い込む。代わってフィッシャーが保守党候補になる。

○ジャイルズ・バリントン 1955年 上巻P.329~
フィッシャーが保守党候補になったと知って、エマとハリーは労働党員になり、ジャイルズの選挙戦のボランディアを勤める。
フィッシャーは、選挙討論会を申し込み、ジャイルズはこれを受ける。しかし、討論会ではフィッシャーの卑劣な作戦によって貶めるられる。
偽のインサイダー情報にフィッシャーたちは引っかかり、良好な経営見通しがバリントン海運の株主総会で語られるが、その直前に香港経由で株が売られていた。株価は上がり続け、フィッシャーがバリントン海運の重役ではなくなるにもかかわらず、ヴァージニアは買い戻す気が無くなった。
選挙は激戦となり、開票所では不正もあったがセバスティアンが見抜き、僅差でジャイルズが勝った。

○セバスティアン・クリフトン 1955年-1957年 下巻P.9~
ヴァージニアが離婚書類にサインして、ジャイルズは自由の身となった。
総選挙に立候補した伯父の手伝いをしたいからと休暇を取った、ビーチクロフト・アビーへ戻ったセバスティアンは、別人のように猛勉強をし好成績を収め、ケンブリッジ大学の奨学生になるための特別選抜グループに加えられた。
食堂のメイドとの逢瀬等の悪行のため、セバスティアンはケンブリッジ大学に進めなくなる退学処分については執行猶予となったが、学年が終わるまであと4日のところで停学となり、家に帰らせられる。友人のブルーノ・マルティネスのことは辛うじてかばった。家では無くロンドンに行こうと列車に乗り喫煙しているところを校長のドクター・バンクスーウィリアムズに見られ、執行猶予の撤回は免れ得ないと覚悟しロンドンに降り立つ。実はケンブリッジ大学の奨学生になれたおかげで退学処分にはならなかったのだが、ジャイルズは退学になったと思い込んでいた。
ミセス・ティベットのゲストハウスにセバスティアンは落ち着くが、持っていた金が無くなっていた。すべての事情をミセス・ティベットに打ち明け、実家に帰れとアドバイスされるが、その夜は泊めてもらう。翌朝から、得意の語学力活かした接客などゲストハウスを手伝う。
ブルーノ・マルティネスの実家を訪れると、その父ドン・ペドロ・マルティネスから息子をかばったことを感謝され、百ポンドの仕事の申し出があった。それはドン・ペドロと一緒にブエノスアイレスへ行き、その後荷物と一緒に船で帰ってくると言う簡単なものだった。
そのころ、ミセス・ティベットは国会のジャイルズと連絡を取る。ジャイルズはセバスティアンを追いかけるが、船は出港してしまう。

○ハリー・クリフトン 1957年 下巻P.111~
エマはスタンフォード大学商学部を卒業した。ハリーの母メイジーも文学士の称号を得ていた。スタンフォード大での卒業式から帰るとセバスティアンがまだ帰宅していない。ジャイルズからの報告でブエノスアイレスに向かっていることがわかるが、ハリー、エマ、ジャイルズは内閣官房長官のサー・アラン・レドメインに呼ばれる。
サー・アランから、ドン・ペドロ・マルティネスが政府の監視下にある犯罪者で、ナチが作った大量の5ポンド札の偽札をイギリス持ち込もうとし、セバスティアンがそれに関わっていると説明を受ける。
ドン・ペドロに偽札持ち込みを阻止するための作戦への協力を求められ、ハリーは別人に成りすましてアルゼンチンに飛ぶ。イギリス大使と会い、大使館主催のマーガレット王女の訪問パーティにドン・ペドロ・マルティネスを招待し、セバスティアンと連絡を取る作戦を実行する。

○セバスティアン・クリフトン 1957年 下巻P.199~
セバスティアンはドン・ペドロから前払いを受けた金でブエノスアイレスを堪能する。娼婦とではあったが初体験も済ませた。
パスポートの不備を名目にイギリス大使に呼ばれ、共にイギリスに渡る積み荷が銅像「考える人」であることを伝える。大使は暗号でこのことをイギリスに知らせ、ドン・ペドロが偽札を銅像に入れて持ち込もうといていることが判明する。
像を載せた船がサウサンプトンに到着し、銅像は荷下ろしされた。サザビーズのヴァンの到着を遅らせて、その間にブライアン・スコット=ホプキンス大佐以下の陸軍特殊空挺部隊チームが密かに銅像の偽札を取り出し焼却処分にする。そのまま銅像はサザビーズに運ばれた。
偽札がまだ銅像の中にあると信じているドン・ペドロは、サザビーズのオークションで12万ポンドで銅像を落札する。銅像を開けたドン・ペドロは偽札が無くなっていることを知り、復讐を誓う。
ドン・ペドロは、ハリーがブエノスアイレスにいてセバスティアンと通じていた可能性があることを知る。標的はクリフトン一族とバリントン一族と定まった。アレックス・フィッシャーがドン・ペドロの陣営に加わる。
セバスティアンはブルーノ・マルティネスにウィンブルドンの観戦を誘われ、ケンブリッジで担当教官と面談する前にロンドンに出る。ケンブリッジにはブルーノのとその車で向かうが、ドン・ペドロの仕組んだ事故により一人が死ぬ。
裁きの鐘は(上): クリフトン年代記 第3部 (新潮文庫)510i13Cx++L._SX349_BO1,204,203,200_
裁きの鐘は(下): クリフトン年代記 第3部 (新潮文庫)51pShlw0aAL._SX349_BO1,204,203,200_

スポンサーリンク