ジェフリー・アーチャーの大作クリフトン年代記を楽しく読むためのあらすじです。
第4部 「追風に帆を上げよ」
○プロローグ 上巻P.11~
セバスティアンが運転する車は3台のトラックにはさまれそうになり、対向車線を横切り野原に逃げようとするが、大木が眼前に迫る。
○ハリーとエマ 1957年-1958年 上巻P.15~
ハリーとエマの元にセバスティアンが交通事故で死んだとの知らせがあったが、セバスティアンは大けがをしながらも生きていた。死んだのは、セバスティアンの車に同乗していたドン・ペドロ・マルティネスの息子ブルーノだった。怒るドン・ペドロは、病床にあるセバスティアンを殺そうと計画するが、サー・アランの手配によって阻止される。
バリントン海運の重役に就任しているエマは、豪華客船の建造には反対の立場を取る。ドン・ペドロがフィッシャーを重役会に送り込もうとしているとエマは考える。
セバスティアンは順調に回復しエマにアドバイスを与えるまでになる。グレイスと会ったエマは、フィッシャーがエマのレッド・メイズの後輩でモデルのスージー(スーザン)・ランプトンと結婚することを知る。一方、ジャイルズは、グウィネッズ・ヒューズと結婚する。
フィッシャーが加わったバリントン海運の重役会で豪華客船の建造に関する投票が行われる。採決では、フィッシャーがキャスティングヴォートを握る。
○ドン・ペドロ・マルティネス 1958年-1959年 上巻P.99~
重役会の投票では一票差で豪華客船の建造を推進することに決まった。ドン・ペドロはフィッシャーの情報でベルファストのハーランド・アンド・ウォルフが建造すると知る。ドン・ペドロは、手下の元ナチのカール・ルンズドルフにアイルランド共和国軍に接触させる。彼らの手で豪華客船の建設を妨害するのだ。一方で、二人目の重役を送り込むためバリントン海運の株を買い集める。
豪華客船の建造は遅れ、エマはフィッシャーとドン・ペドロが関与していると確信する。
さらなる妨害工作が行われ、豪華客船の建造が遅れ、ブキャナン会長のは辞任を表明する。ドン・ペドロはフィッシャーを後任会長の座に据えようともくろみ、株を22.5%まで買い、ピーター・メイナードとフィッシャーの妻のスーザン・フィッシャーの2人をを新たな重役として送り込む。さらに、ヴァージニア・フェンウィックを味方に引き込み、重役とする。
エマ側もジャイルズとグレイスを重役とする。さらにファージングズ銀行からセドリック・ハードキャッスルが重役に加わった重役会で会長の選出が行われた。意外なことにスーザン・フィッシャーがエマを支持したことにより、エマが会長に就任する。
○セドリック・ハードキャッスル 1959年 上巻P.187~
セドリック・ハードキャッスルはファージングズ銀行の会長で、交通事故で入院している時にセバスティアンと同室になった。そのため事情を知り、バリントン海運の重役になるため株を買ったのだった。
セバスティアンはケンブリッジ大学の奨学生が始まるまでの休暇期間中セドリックの専属アシスタントとしてファージングズ銀行で働く。日本のソニーとの取引に当たって、猛勉強で日本語を習得し、機転を利かせてセドリックを助け、契約が結ばれることになった。ソニーの盛田は銀行こそがセバスティアンの天職と話す。
○ジャイルズ・バリントン 1963年 上巻P.263~
ジャイルズは労働党首を目指す。銀行の休暇を取りやめたセバスティアンが協力する。ブリュッセルの欧州経済協力体での演説を成功裡に終えるが、欧州経済協力体副議長のピエール・ブシャールをよそおったドン・ペドロの一党に一服盛られ、心臓発作の症状となりチャンスを逃す。
○ジェシカ・クリフトン 1964年 上巻P.303~
ジェシカの才能は抽象画と進み、クライヴ・ビンガムという同級のボーイフレンドがいた。
スレイド・スクール・オヴ・ファイン・アートの卒業制作展示会が行われ、ジェシカは素描、水彩、油彩のカテゴリーすべてで1位となる。ロイヤル・アカデミー・スクールズ大学院へも合格し、画商ジュリアン・アグニューにも認められた。
クライヴは、ジェシカに結婚を申し込む許可をハリーに求める。ハリーは、ジェシカに真実を話す時が来たと考える。
ハリーが真相を話す前にジェシカはクライヴの実家の広壮な屋敷に招待され、その父ボブ、母プリシラと対面し、クライヴのプロポーズを受け入れる。しかし、ヴァージニア・フェンウィックが自分の出生の秘密と一族のスキャンダラスな事実をプリシラに話しているのを耳にし、屋敷を飛び出す。
その間、何者かがその父親の指示でアパートにあるジェシカの絵をナイフで切り裂いていた。
アパートに戻ったジェシカは、切り裂かれた自分の絵を見て自殺する。
○セドリック・ハードキャッスル 1964年 下巻P.9~
セドリック・ハードキャッスルは、その息子の法廷弁護士アーノルドと作ったペドロ・マルチネスとその家族の壊滅計画への協力をバリントン家とクリフトン家に求める。それは彼らが一度も会ったことがなく、しかしペドロ・マルティネスを法廷に引きずり出したいと望んでいる者を見つける必要があった。ジャイルズがこの条件にかなう者を知っていた。それはボブ・ピンガムだった。
○アレックス・フィッシャー少佐 1964年 下巻P.27~
ジェシカの絵を切り裂いたのはドン・ペドロの差し金だった。
困窮するアレックス・フィッシャー少佐は、ヴァージニア・フェンウィックから五百ポンドで仕事を請け負う。それは、バースの店頭のビンガム・フィッシュ・ペーストにガラス片を入れ、スキャンダルにすることだった。
バリントン海運の重役会に出席したフィッシャー少佐は、豪華客船バッキンガムの命名式と処女航海の日取りをドン・ペドロに報告する。ドン・ペドロは五千ポンドの報酬でフィッシャー少佐に年次総会の三日前の8月21日に重役辞任の手紙を明らかにすることを求める。株価の下落を狙ってのことだが、自らはその前の8月17日に株を売り払う手配をする。フィッシャー少佐の別れた妻のスーザンがたまたま辞表を目にするが、日付の意味は理解できない。
セバスティアンは、展示画廊アグニュー美術商会で、スレイドの卒業展示会の夜に会った美女と再会する。ジェシカの絵を全財産をはたいて買い、美女ミス・サリバンとデートの約束を取り付ける。そして、店にドン・ペドロの「考える人」があるのを発見する。
セドリックは、ドン・ペドロが自分の美術品を売りたがる理由を知るため、ドン・ペドロの取引銀行であるミッドランド銀行のスティーブン・レドベリーと連絡を取り、ドン・ペドロがバリントン海運の年次総会の1週間前に株を売却しようとしていることを知る。美術品を売る理由はまだわからない。
スーザンはレッド・メイズの同窓会で会ったエマに、フィッシャー少佐の辞表について教える。
セバスティアンは画廊の美女サマンサ・サリバンと初めてデートする。
○セバスティアン・クリフトン 1964年 下巻P.95~
バリントン、クリフトン家とハードキャッスル親子は、ドン・ペドロのバリントン海運株への攻撃に対する防御態勢を整える。
ドン・ペドロ一味は、株を売却する時にはスコットランドに雷鳥猟を行ってメディア等を遠ざけるつもりだが、ディエゴ・マルティネスが株を売却する予定である月曜日の前の金曜日まで株価を監視することにする。
セバスティアンは、サマンサと共謀して高額な名画を盗んだ容疑をかけられるが冤罪で、サマンサはセバスティアンを両親に自分と結婚する人として紹介する。
セドリックは、ドン・ペドロの裏をかいて、海外市場で月曜日までの間に株を放出した。
ディエゴは、金曜日の晩にスコットランドのドン・ペドロ一味に合流する。しかし、何事かに気がついたディエゴは日曜日の夕方にスコットランドを離れロンドンに向かう。彼らを監視していたロス・ブキャナンは、ディエゴと同じ列車に乗り込み、列車が翌月曜日の朝9時までロンドンに着かないよう工作する。しかしディエゴは9時前に列車を飛び出した。
セドリックは、予定どおり月曜日の9時にドン・ペドロが売った120万株を買い取る。
○ディエゴ・マルティネス 1964年 下巻P.180~
ディエゴは8時53分に列車から飛び降りた。仲買人のデイヴィッド・アレグザンダーとようやく電話が通じた時にはすでに株は売られており、デイヴィッドを脅しても取引を取り消すことはできなかった。
ドン・ペドロは、アグニューの画廊で自分のコレクションの売却益を受け取ろうとするが、ミッドランド銀行が差し押さえていた。
内閣官房長官サー・アランは、ナチハンターのサイモン・ウィーゼンタールにカール・ルンズドルフの情報を流す。スコット=ホプキンス大佐のチームが、ルンズドルフを確保しイスラエルに送った。
ドン・ペドロの二人の息子ディエゴとルイスが逮捕されたが、あっさりと保釈が認められる。
フィッシャー少佐は、辞表を出すのをやめよう重役会に留まろうとするが、逆にドン・ペドロが株を手放したことから辞任をやむなくされる。
ドン・ペドロは、二人の息子をアルゼンチンに逃がした後で、スコット=ホプキンス大佐に28日以内の退去を迫られ、とあるところに電話する。
○ハリーとエマ 1964年 下巻P.201~
エマは年次総会を成功裡に終えた。周到な準備を重ね、皇太后を迎えてのバッキンガムの命名式も無事終えることができた。
ドン・ペドロは、アイルランド共和国軍に破壊工作を依頼する。
ジャイルズは選挙戦を勝ち抜き、労働党政権のもと、ヨーロッパ問題担当国務大臣に就眠した。息子ウォルターが誕生していた。
いよいよ処女航海出港の日が来た。スコット=ホプキンス大佐のチームが乗船して密かに警戒する。
マッキンタイヤ卿なる人物が「バッキンガム」処女航海の客室をエマ、ジャイルズの部屋の隣りに予約していたが、彼はアイルランド共和国軍の破壊工作員だった。
エマにエリザベス皇太后から百合の花瓶が届くが、花の下の土にはアイルランド共和国軍により6ポンドのダイナマイトが仕掛けられていた。
午前3時に30分の遠隔時限装置をセットしたマッキンタイヤ卿ことリーアム・ドハティは、変装を解いて下層のキャビンクラスに向かう。そして、轟音とともに激しい衝撃が襲ってきた。
追風に帆を上げよ(上): クリフトン年代記 第4部 (新潮文庫)
追風に帆を上げよ(下): クリフトン年代記 第4部 (新潮文庫)