映画「ノーカントリー」はわからないことが正解?

映画「ノーカントリー」を見ましたが、わかりませんなあ。納得できる結末が無いと思ったんですが、見た方、どうでしょう?しかし、逆に、この納得が無い、わからないことこそがこの映画の狙いなんじゃないかと思うんですよ。

概要

『ノーカントリー』(原題: No Country for Old Men)は、2007年製作のアメリカ映画。コーエン兄弟製作のスリラー映画。
アメリカとメキシコの国境地帯を舞台に、麻薬取引の大金を巡って凄惨な殺戮劇が繰り広げられる。
2005年に発表されたコーマック・マッカーシーの小説『血と暴力の国』(原題: No Country for Old Men, 扶桑社ミステリー文庫)の映画化作品。2005年に発表されたコーマック・マッカーシーの小説『血と暴力の国』(原題: No Country for Old Men, 扶桑社ミステリー文庫)の映画化作品。

ストーリー

ベトナム帰還兵のモスは、狩猟に行き、たまたま麻薬がらみのトラブルで銃撃戦になり、みんな死んだか瀕死の状態の現場に遭遇した。そこで200万ドルの札束が入ったバックを発見し、持ち去る。この200万ドルの札束を追って、凶悪無比な殺し屋シガーとの壮絶な戦いが行われる・・・

と書くと、トミー・リー・ジョーンズが出てこないな。一応主演はトミーのようなんですけどね。上に書いたストーリーだと200万ドル争奪戦のアクション映画としか思えない。確かにアクションはたっぷりなんですが、トミーが出てくるシーンではアクション皆無。200万ドル争奪戦にはほとんど関わらない。そして、200万ドル争奪戦というと、ハリウッド的にはどちらかが勝利するか、で映画を見せていくものなんですが…

ここがポイント

トミー・リー・ジョーンズは「追跡者」の昔から好きだし、凶悪無比な殺し屋シガーはハビエル・バルデム(なんと、我が愛するペネロペ・クルスの旦那)怪演としか言いようのない名演技で、アカデミー助演男優賞。モスを演じるジョシュ・ブローリンも、いかにも虚無を内に秘めたベトナム帰還兵だ。それぞれの演技は言うことが無い。

テキサスの荒涼とした雰囲気を描いた画面も、映画に白日夢的な乾いた印象を与える。

ラストに至る直前まで、特に前半部分は、怪しげな空気銃で追うシガーと逃げるだけでは無く、果敢に反撃するモスの攻防がテンポ良く描かれ、アクション映画として見ても面白い。で、当然ハリウッド的エンディングを迎えるものと思ってしまうが、そうはならない(おっとネタバレだ)。

冒頭とエンディングを締めくくるトミー・リー・ジョーンズの役割がよく分からない。なんか深い意味があるんでしょうかね。それとも単に原題のとおり、老人向けではない残酷な世界になったというなげき?

ハリウッド的エンディングにしなかったことで、この作品がアカデミー賞をとったんでしょうが、一言で言えば、見る人を選ぶ映画。

当方は、わからなさが残ることがこの映画の主題であるように思ったのですが、誰もが様々な解釈をすることができることが、この映画に深みを与えていることは確かなことでしょう。



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